耳が恋する乙女CDブログ

声フェチ乙女CDヲタクアラサー女による感想ブログ

【感想】隠し鬼/CV:茶介

⚠️こちらはR18作品のご紹介です⚠️

 

同人サークルbonecageさんの音声作品。

こちらの作品も歪んだ愛が描かれています。とってもヤンデレです。

鬼(邪神)×人間なので、濡れ場は基本的に見下されている感じで、凌辱的な事を言われたりもします。ドS好きな人にお勧め。

何よりもご注意なのはほんの一瞬ですがグロ要素があるので、苦手な方は慎重に。

私はドSもグロ要素も苦手なのですが、ストーリーに惹かれてついつい購入してしまいました。

結果、購入してとても良かったと思っています。

 

●小説を読んでいるようなストーリー

しっかり作り込まれたストーリーがとても面白く、説得力があります。

内容を簡単に説明しますと、ヒロインが幼い頃、近所にある神社を探検していて木彫りの犬の人形を見つけた。

ぬいぐるみサイズの木彫りの犬を気に入ったヒロインは、それを神社から持ち出し裏手の森に隠して遊んでいた。

まだ幼かったので、ヒロインには罰当たりなことをしていると言う自覚がなかったんでしょうね。

いつものように森に隠した木彫りの犬で遊んでいたヒロインですが、手を滑らせて人形を取り落とし、人形の首の辺りに小さなヒビが入ってしまった。

そこで初めて罪悪感が芽生え、怖くなったヒロインは木彫りの犬を置いて逃げてしまい、それ以来その森へは行かなくなった。

実はヒロインが遊んでいた木彫りの人形には恐ろしい鬼が封印されていて、ヒロインが人形に傷をつけてしまった事で少しずつ封印が解け、鬼は完全に力を取り戻し、成長したヒロインを探しだして自分の神域へ誘拐し、そのまま眷属にしてしまうと言うストーリーです。

いわゆる、神隠しですね。

鬼が何故ヒロインを怨み、ヒロインに執着しているのか、しっかり設定があるので聴き応えのあるストーリーでした。

 

●ヒロインへの切ない執着心

木彫りの犬の人形に封印されていた鬼・狗杖は、自分を封印した人間達への怨みを募らせながら、一人孤独に長い時を過ごしていて、とても惨めだった。

でもある時現れたヒロインが、狗杖の孤独を癒し、彼にとっての救いのような存在だったんですよね。

狗杖は最初、ヒロインに恩返しをしたいと言う体でヒロインを自分の神域へ誘うのですが、その時に

「あんな、小さくみじめな大の姿でも、お嬢さんのふくふくの手が、僕の胸元を撫でてくれる時だけは、自分が木像なことが少しだけ嬉しかったものです」

と言っていました。

ヒロインを騙して神域へ連れ帰るために優しいふりをして近づいてくる彼ですが、おそらく、この言葉だけは本心なのでしょう。

冒頭の狗杖の一人語りでも、彼の切ない気持ちが伺えます。

突然来なくなったヒロインを、迷子になったのではないか、怪我をして泣いているのではないかと心配し、ヒロインが来るのを待ち続けました。

茶介さんのお芝居も相まって、あ~切ない……! と初っぱなから悶えました。

そのうちヒロインへの想いが怨みと執着へかわり、ヒロインを自分の眷属にして永遠に側に置いてやる、となったわけです。

捨てられた事がショックで悲しくて、その気持ちがどんどん屈折していき、歪んでしまった様もまた切ないです。

無理やり行為に雪崩れ込んで乱暴に抱いているとき、切ない想いが狗杖の口から溢れるシーンがありました。

「どうして、俺を捨てたんだ。

俺はずっと、お前がまた来るのを待ってたのに。

お前が来てくれるなら、

あの木偶人形の中でもよかったのに」

と、苦しそうに言っていたのがキュンときました。

 

狗杖はヒロインが自分以外の存在を気にかけることすら許せず、結局自分の力を使ってヒロインの記憶を全て消してしまいます。

最後のトラックでは、記憶を失ったヒロインに狗杖が自分とヒロインの馴れ初めを昔話として語り聞かせます。

ヒロインが自分を捨てたことは、自分の眷属になったのだからもう許した、と言う感じでした。ヒロインに帰るところはもうなから、二度と狗杖を裏切ることも出来ないし。

ヒロインが自分のものになり、永遠に二人で一緒に暮らすのだから、めでたし、なんでしょうね。

鬼である狗杖にとって人間はただの補食対象なので、行為中も蔑むような事をヒロインに言います。

私は言葉攻めが苦手なタイプなんですが、ヒロインを恨んでいながらも愛しく想っている気持ちもあり、二度と逃がさない、自分の物にする! と言う切ない気持ちが要所要所で伝わってきたので、そちらに気持ちを持っていかれました。

騙して神域に連れてこられて、散々抱かれて家に帰してもらえなくて、行為中見下してくるけれど、狗杖の心の内を思うと嫌いになれない……。

むしろこちらの方が、申し訳ない気持ちになってくる不思議。

ヒロインの意志や気持ちを全て無視して、記憶を消して自分の眷属として側に置くと言うラストは、バッドエンドなのかハッピーエンドなのか……。

●特典SS

500DL記念SS~6000DL記念SSまで計4本のSS小説が特典として読めるのですが、どのお話もとても良かったです。

4本ともIFストーリーなので、本編とは異なる雰囲気を楽しめます!

どれも好きなのですが、私は500DL記念のSS小説がお気に入りです。

なんと、ヒロインが冒頭、電話で話していたていた男友達が、某掲示板でお馴染みの「寺生まれのTさん」だったと言う設定のストーリーなんです。

「破ぁーーーーー!!」の一言で、ヒロインの家を訪ねてきた狗杖を完全に消滅させてしまいます。腹抱えて笑いました。

ちょっと気障な言い回しの台詞も、読経の時間だ、と去っていくのも、めちゃくちゃTさん過ぎて……。

ちゃんと最後は「寺生まれってすごい」で締め括られているのも流石です。

あまりにも呆気なく退治された狗杖はちょっと不埒ですが、面白かったです。

 

他の3つは、ヒロインが狗杖が封印されたままの人形を大人になっても側に置いていて、夢の中で狗杖と話すことが出来るお話。

幼いヒロインが木彫りの人形を落として粉々にしてしまい、完全に狗杖の封印を解いてしまった世界線のお話。

幼いヒロインを神隠ししたものの、ヒロインの我が儘に振り回され育児疲れな狗杖のお話です。

本編がほの暗いので、SSの少しほっこりした雰囲気が新鮮でした。

是非本編を聴いたあと、特典SSも読んでみてください。